仮想通貨取引所として日本最大手のコインチェックが500億円以上を盗まれるという事件が起きましたね。
額も去ることながら、個々人の資産が失われるリスクを考えると、怖すぎるニュースですね。
筆者は、昔よりコインチェックの危うさについてTwitterにて指摘をしてきました。
それは、一点。
資本金が9200万円しかないことです。
同業のビットフライヤーは41億円。
小規模と思われがちなZaifだって、8億円。
後発の、GMOコインも17.5億円。
DMMビットコインも13億円。
QUOINEXだって、20億円です。
BITBANKですら11億円。
業界最大手がなぜ、こんなに低いのか?
昔から不安に感じアンケートなどを取ってみても、やはりユーザーの「資本金なんて少なてもいいじゃん」といった楽観的なコメントが目立ちます。
資本金が少くてもいい派の意見はこうです。
「資本金が1億円を超えると、税金が増えるためその対策では?」
「資本金が少くても、純資産が多ければ大丈夫」
「大企業でも、資本金が1億円未満のところは多い」
もちろん全部そうでしょう。
何も間違っていません。
経営面では、資本金が1円でもキャッシュが10億円あれば全然問題ありません。
しかし、こと「金融業」だけは違うと思うのです。
金融業は、ユーザーの資金を多く集めて管理・運用する仕事。
つまり、自社の実力以上の大金を預かるとても責任重大な仕事です。
つねに、負債を限りなく抱えて運転していくのです。
他人のお金を預からない一般的な仕事とはワケが違います。
ユーザーは、会社に大事な資産を預けるわけですから、潰れそうなところには預けたくはありません。
しかし、会社のパラメータを細かく見るほどのモチベーションの知識もありません。
確かに、資本金が少くても純資産が多ければいい、というのは事実なのですが、コインチェックの純資産を言える人はどれだけいますか?
普通は、言えません。
しかし、資本金だけはホームページの会社概要レベルで公開されており、誰でも簡単に知ることができます。
もちろん公開は義務ではありませんが、「一般的に」公開することが慣例となっています。
つまり、企業にとって資本金とは、ユーザーにとって「うちはこれだけ資本金があるので安心して下さい」といったメッセージなのです。
資本金とは、会社のヒットポイントが0になった時に残る最後のお金。
この額を上回る赤字だと、会社が潰れるということ。
いわば、会社の自力です。
金融業の事故は、今回の盗難のように、額が巨大なことになることが多いです。
今回は500億円と天文学的な数字でしたが、仮に30億円の盗難事故が起きていた場合。
資本金9200万円のコインチェックと、資本金42億円のビットフライヤー。
どちらのユーザーがより不安になると思いますか?
ビットフライヤーなら、少なくとも自己資金でなんとかなるレベルですね。
恐らく今回の盗難が30億円でも、コインチェックのユーザーは同じようにパニックになっていたはずです。
だって、資本金9200万円 - 紛失30億円 = 28億8000万円 を持っているかなんてユーザーは知りませんから。
金融業とは、「空気」を扱う仕事です。
何も合理性だけで人はお金を支払っているのではなく、「なんとなく」上がりそう。「なんとなく」下がりそう・
で買っているのです。
「なんとなくやばい」となったら売りが殺到し、その値動きにさらに不安になった層がさらに殺到します。
資本金が少ない、ということは、この「狼狽」を加速させます。
こんなこと、考えれば分かることです。
もちろん、経営的に「資本金が少くても、キャッシュいっぱいもってるもん」と思っていたのでしょう。
コインチェックは、もともと仮想通貨業の会社ではないですから、一般業種と同じと考えてしまったのでしょう。
また、金融業の事故は、今回のように巨大な金額になりがちです。
ビットフライヤーの40億円の資本金でも小舟と思ってしまうくらい。
そんなときに大事になるのが「第三者の救済」です。
ビットフライヤーは、そもそも自己資本で40億円もの大金を用意できたと思いますでしょうか?
当然、違います。
あそこは、銀行系や事業会社、投資会社などから第三者割当増資を繰り返すことで、あれだけ立派な資本金を用意しているのです。
金融業の事故は、一社でなんとかなる金額にならないことが多いです。
しかし、このように「カタい」会社から出資を受けていると、万一手に負えない額になってしまっても、救済してくれることが多々あります。
何故なら、そこで投資先がポシャってしまったら、投資した額が0円になってしまうからです。
0円になるくらいなら、追加で投資して救済したほうが良い、となるのです。
第三者からの投資を得る、ということは、仲間を増やす、ということなのです。
利害関係が一致するため、困ったときに助けてくれる動機になるのです。
しかし、コインチェックの資本金は9200万円。
どう考えても、第三者の資本を入れているとは考えにくい資本金です。
ただ、事業内容からも、出資の話は腐るほど来ていたでしょう。
それを受入れていない、ということは、恐らく「自分の好きなようにできなくなる」と思ったからと感じざるを得ません。
ユーザーの資産よりも、自分が自由にやることを優先したと思ってしまいます。
コインチェックは、ユーザーから何千億円と預かる仕事です。
その仕事はすでに社会的な意味を持ってしまっており、一企業だけでなんとかできるレベルの話ではありません。
社会的な責任が生まれてきているのです。
私は、資本金が少ないという一つの事実だけで、このような危うさを感じていたのです。
だからこそ、コインチェックは利用していませんでした。
それならどこの取引所がいいか。
ただ、一つ言えることは、どんな信用できる取引所でも、万一なにかが起こるリスクというのは避けられません。
資産は、ウォレットに入れるというのは当然としながらも、幾つかの取引所に分散させるということも大切になるでしょう。
ここで、まず開いておくべき、安心できる3つの取引所があると考えています。
まず挙げられるのが、QUOINEX。
コールドウォレット100%を宣言しているなど、恐らくセキュリティ対策はNo1です。
そのトレードオフで、入出金が遅いなどの不便さもあるのですが、セキュリティで選ぶならここではないでしょうか。
ただ、トレード画面が少し見にくいので、素人には不慣れかもしれません。
ただ、QUOINEXも、母体としてはそこまで安心できる組織ではないことも事実。
万一の事故が起きた時に狼狽してしまうかもしれません。
そこで、私がなんだかんだ一番安心できるのが「母体」という意味でGMOコインだったりします。
GMOコインが登場した時は、スプレッドも0に等しく、手数料もかからないので「完璧!」と騒いだものですが。
数々の失敗からスプレッドも普通になってしまい、FXのレバレッジも最大5倍になるなど、「強み」がない販売所になってしまっています。
でも、コインチェックに不安を感じないように、GMOコインの最大の強みを忘れていると思います。
それは、「母体」です。
GMOグループはインターネット黎明期から、日本のITの発展とともに成長してきた企業。
あまり華やかな印象もなく、ブラックな印象さえありますが、事業内容を考えればその盤石差に気付きます。
ドメインからサーバ、ECプラットフォームからオンライン決済。
クリック証券などをはじめとしたネット投資でも最大手。
インターネットのインフラを抑えている「硬すぎる」事業と、オンライン投資という紛れもない実績があるのです。
仮に500億円、今回盗難されたとしても、GMOは最悪全額補填するでしょう。
これをGOXさせたとしたら、これだけ多様な他の事業全体に与えるネガティブイメージは避けれないからです。
特に同じオンライン投資のクリック証券の信用などは、大ダメージでしょう。
だからこそ、GMOはコインの管理にものすごく慎重になるはずです。
若く小さなコインチェックとは、背負っている責任の重さが違います。
この「母体」こそ、他の販売所にないところだと思います。
ここにまだ公開前ですがSBIが加われば、この「母体」という意味ではGMOとSBIの2トップになるでしょう。
皆さんも、ツールの使い易さだけではなく、大切な資産を預ける先には「しっかりした母体」をもっと気にしてみた方が良いのではないでしょうか。
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GMOコインの口座は持っておくことをお勧めします。